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「なんば」歩き考 番外

人間の進化と歩行法の仮説


2003年6月12日朝日新聞朝刊より

■はじめに
 2003年6月12日(木)の朝日新聞を見てびっくりした。ちょうど人間の歩行形態獲得について考えていた時だっかからだ。上の図は人類の発生と拡散を大変判り易く説明している。
16万年前、拡散する前の我々の祖先がアフリカ東部で発見されたのだ。

■人間の歴史

適応行動の進化
人の適応行動は、身体適応がまず先に進化し早い段階で現代人並の外見を獲得している。一方文化適応は、アフリカの単一生態系から旧大陸への拡散が始まった100万年前頃から次第に始まる。だが今日的な認知行動は、現代人が旧大陸を席巻した4−3万年前に突然始まった。そして、定住は1万年前の完新世の開始以降の出来事である。

 左の図で見るように10万年前から現代までのうち最近の1万年を除くときわめて不安定な気象条件にあった。逆にいえば1万年前からの現代の方が極めて特殊な環境なのかも知れない。このような環境の中で急激に膨張し、世界征服を成し遂げた人間という生物がこれから起こる新たな気象変動期を迎えた時、どのような対応を取るのだろうか。見たいような、見たくないような複雑な心境になる。

 10万年前にアフリカを出発した(第2次アウト・オブ・アフリカ)現代人の祖先は急激に膨張してヨ−ロッパやアジアに広がっていった。氷河期が終わるころには新大陸アメリカにまで広がり、6000年前頃には大洋州をそして1000年前ごろにはニュージーランドまで到達して世界完全制覇を達成するわけである。

 世界中に拡散した現代人は、世界制覇する途中の3万年前にはヨーロッパでネアンデルタール人を滅ぼし、現代人ただ1種の世界を構築してしまった。

この拡散の大きな原動力は主食を肉食に変えたことだ。効率のよい栄養取得が可能となり時間にゆとりが生まれた。そして、狩猟中心の生活は餌場を草原に広げ、人間の拡散を容易にした。

 氷河時代の激しい気候は年平均気温が7〜8℃も変化したが、氷期(更新世)から現世(完新世)に移る気候変動によって、世界各地で生物の大量絶滅が起こっている。これは、気候変動と人間の拡散による狩猟圧が複合した結果と考えられる。結果として人間も狩猟中心の生活を送ることが困難になり、定住してエネルギ−効率の悪い菜食(農耕)生活に戻っていく。これを可能としたのが1万年前から今に続く安定した気候だったということだ。

■ここで仮説なのだが、
農耕生活に向いた「なんば」歩行はこの定住生活の中で新たに培われた新しい形態ではないだろうか。「なんば」で歩いていて「ゴリラ」や「チンパンジ−」の歩行に似ていることに気が付いて、人間はサルから進化したから当然のことと受け止めていたのだ。しかし、人間の世界征服が狩猟生活の結果であるとするならば、石や槍を投げる態勢は 「なんば」でないほうが自然であると思える。

150万年前にアフリカに出現した旧人も、15万年前にやはりアフリカに出現した新人(現代人)も狩猟の生活が長い。生活から獲得した形態からすると現代人はその大半の時期を狩猟期としていて、農耕期はわずかに1万年である。したがって現代人はほとんど狩猟期に形成された形態を背負っているといえるのではないだろうか。現代の文明の変化が早すぎて形態を変える時間が不足しているのではないだろうか。

動物にしても人間にしても歩行は体重を移動して進む手法であるから体重移動がスム−スに行える形態が基本なので「絶対にこうだ」ということはありえないだろう。したがって、厳密に議論する必要もなさそうだが、文化を語る時は外せないのかも知れない。

 

年表・トピックス

500〜100万年
人類誕生  猿人  
猿人の定義  
  ヒトであるが生活の仕方はサルと変わらない。
  道具や家は持たず、植物・果実が主食
  わずかに肉食(腐肉・骨髄)

240〜10万年
  初めてヒト属がホモ・ハビリス誕生
  肉食の道具として石器
  肉食の比率が増え狩猟技術が発達
  直立姿勢は灼熱の熱帯で熱代謝を回避するように働いた。
  前肢が開放されて道具製作・運用が容易になり、食物運搬と分配行動を 可能にする身体構造を用意された。
  身体適応が発達しえ集団狩猟のための社会関係を維持するために複雑 な情報処理を行う脳が発達
  150万年前頃ホモ・エレクトスによって初めてアフリカから出る
  (第1次アウト・オブ・アフリカ)
  この旧大陸(ユーラシア)の熱帯・温帯への拡散は、肉食への転換が可能とした。
  ホモ・エレクトスは発達した石器文化(ハンドアックス文化)と最古の 家を持ち、火の使用も開始したらしい。
  しかし、その道具の使用には象徴性が付与されておらず、文化的・社会的 行動は依然未発達のまま。

30〜3万年
  30万年前になると古代型ホモ・サピエンス(旧人)と呼ばれる人類が   旧大陸で進化・出現する。(ネアンデルタール人)
  彼らはアジア・ヨーロッパの寒帯まで進出し寒冷気候に適応した初めて の人類。組織的な狩猟者で、安定した火・住居・道具を使用することが できたが、もっぱら文化的行動の方にとどまって社会性は未発達。

15万年前〜現在
  現代人の登場は、あらゆる意味で人類の歴史上最大の変化と言える。
  15万年前にアフリカに出現したホモ・サピエンス(現代人)の集団 は、10万年前にアフリカを出る(第2次アウト・オブ・アフリカ)
  世界中に拡散し、3万年前にヨーロッパでネアンデルタール人を滅ぼす とその後は現代人ただ1種の世界を構築。
  1.2万年前に新大陸(アメリカ大陸)に拡散。
  6000年前頃大洋州、1000年前ごろニュージーランドに到達して 世界完全制覇
  現代人の登場の意義
  生物学的な適応(身体適応)から文化・社会による適応へと転換 現代人の出現により、地球上ではじめて生物的な原理に律されない 生物が出現。このことは、すなわち「人間らしさ」の誕生である。
  4万年前にヨーロッパに出現した現代人は
  本格的言語
  高度な情報伝達
  観念的・概念的思考
    結果 洞窟壁画 ビーナス像 身体装飾
       死後の世界観としての埋葬行為
       高度な未来予知能力に裏付けられた計画的な資源利用
       交易圏ー交換圏ー様式圏ー集団

平成15年6月19日 
<文責> 保坂 公人

資料 文章と図の出典はすべて 佐藤宏之さんの講義レジメによる
佐藤宏之さん  東京大学大学院人文社会系研究科
(新領域創成科学研究科環境学専攻社会文化環境学併任)
  助教授(文学博士)
レジメ     ECO-GREEN TECH 2003 特別講座
「古代人に学ぶエコロジ−の知恵-古代人と環境の関係と現代人の違い-」


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■流石に人間のル-ツの話は多い

在メルボルン日本国総領事によるオーストラリア考
http://www.dengon.com.au/essay/souryouji/
渡邊 誠一郎 ( Sei-ichiro Watanabe)
http://epp.eps.nagoya-u.ac.jp/~seicoro/
国立科学博物館
http://www.kahaku.go.jp/
「邪馬台国の会」講演会記録1(191回〜  )
http://yamatai.cside.com/katudou/kiroku191.htm
埼玉県人類博物館
http://www.saitama-kenpaku.com/jinrui/index.html
北海道新聞
http://www5.hokkaido-np.co.jp/motto/20020803/
国立遺伝学研究所
http://www.nig.ac.jp/museum/index.html
ニューズウィーク日本版
http://www.nwj.ne.jp/public/toppage/20020724articles/SO_hak.html
九州大学教育・研究の最前線
http://www.museum.kyushu-u.ac.jp/WAJIN/wajin.html
人類のルーツは、一人の女性
http://members.tripod.co.jp/j_coffee/mitokondoria.html
《カジポン編・人類史スペシャル年表〜人類徒然草》 その2
http://www.melma.com/mag/22/m00042722/a00000132.html
アジア国際通信
http://jimbo.tanakanews.com/226-2.html
カルタゴ皇帝ゴンの世界
http://www.kitombo.com/gon/back.html