2002年5月の連休。奥多摩駅周辺は人、人、人バス停もコンビ二の
店内も若者で溢れていた。簡単な食料と飲み物を入手して早速駅前を出
発する。我々の行く先は「奥多摩むかし道」。むかし道という名が付い
ているが通常の生活道路で、奥多摩湖ができるまではこの道しかなかっ
た。いまでも集落を繋ぐ道としてちゃんと機能している。しかし、自動
車道路が奥多摩湖まで延びて、車が生活の手段となると集落を結ぶ生活
道路の通行量は激減したことも確かだろう。奥多摩町ではこの道路を観
光道路として整備して、綺麗なトイレも随所に設置した。見学ポイント
を記入した簡単な地図も作った。
しかし、この道を奥多摩湖まで歩くと約10kmになる。ちょっとした
ハイキングなのでチャレンジする人は少ないようだ。この連休でもここ
に入り込めば「静かな散策が楽しめるはず」と確信して出かけてきた。
東京から来たホリディー快速は混んでいたが半数ほどは御獄で降りた。
残りはほとんど奥多摩駅まで来たけれど、大半は河原や山に向かって行
く。案の定、むかし道に入ったのはにぎやかな女性5人組と我々のみ。
車の走る道から分かれて、ゆっくり登る道は多摩川源流渓谷の左岸を登っ
て行く。程なく車道より200m以上も登り、遙か下に渓谷を見ること
になる。集落から集落を繋ぐかっての生活道路は長い奥多摩の歴史を刻
んでいる。農家の庭先に季節の花を植えている。素晴らしい藤棚を作っ
ている家がある。道沿いの山にウツギの白い花が彩りを添えている。

行程の中程の惣岳渓谷で吊り橋を渡って川に降りる。河原で簡単な昼食に
する。曇り空から時折光りが射してくる。ふと見上げると河原に覆い懸か
る木々から淡い紫の山藤が下がって、陽の光のなかで輝いている。天気予
報は曇りであまり良い天気と言ってなかったけれど、程良い日差しは暑く
なくて気持ちのよい散策となった。
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